川手さんへの私信

中さんは知っています。 スケーターでサックスプレイヤーの人ですね。
またyugueで演奏する機会があればぜひ演奏を見てみたいと思 います。


信仰をモチーフにするという発想がどこからともなくユーモアをも たらすという形式がありますよね。
これが一体なんなのかずっと不思議なのですが、 コメディアンもファンが増えるとカルトになるように、 ずっとあらゆる方向から俯瞰し続けろとの本能からのメッセージな のかなと思ったりします。


一昨日友人でレコーディングエンジニアの剛力君と何気無い音楽の 話をしたのですが、 彼はRadioheadにとても影響を受けて敬愛しているのだけ ど、その事実がとても恥ずかしくて言えないと言っていました。
隣にいたサンフランシスコからやってきた留学生のガビーは気持ち 少しわかるけどわからないと言っていました。
僕もなんで恥ずかしいのか分からないと言ったのですが、 先ほどのユーモアが人を俯瞰できる場所へ導くように、 恥ずかしさが人をまた新しい世界が見える場所へ導いているのだと 思いました。
その日は吉田寮で弾き語りで演奏したのですが、 初めてまともにカバーソングを歌いました。David BowieのSpace Oddityとweezerのacross the seaという歌です。
どちらも僕が愛して止まない歌です。Space OddityがきっかけとなりDavid Bowieの大き過ぎる創作の世界を興味を持って探求することが できました。いつ聴いても映画が頭の中で再生される歌です。 David Bowieのワークスを順番に聴いていくといつのまにかRadi oheadを聴いてみたいという気持ちが芽生えました。 近年の作品はとてもRadioheadのような音楽になってきて いたからです。
Radioheadをあらためて聴いてみるとやはり以前より情報 量が多く音楽的な理解がしやすくなっていました。 ある音楽を知ろうとする時にその音楽家に影響を与えた音楽は彼ら にとってどのように位置付けられていたのかを知ることはロックに おいては構造が時代を通して見えてくるので眼鏡をかけるようなも のなのだと思います。
例えばRadioheadにとってのDavid Bowieは世界的スターでありつつも心の中のヒーローでもあっ たのだと思います。それでDavid Bowieが未来作ろうとする音楽を先に作ってしまう発想ができ たのかも知れない。AI的な発想ですが。
weezerのacross the seaは僕が中学生になった頃ロックに青春時代を搾り取られるき っかけになった歌で、 初めて辞書を使い和訳に挑戦した歌でもあります。 その時は18歳の日本に住んでいるファンに対する恋の気持ちは分 かりやすい英語で翻訳も理解もしやすかったのですが、 途中で急に挟まる、" 10歳の時に頭を剃って出家して年上の女性たちに気に入られよう と思ったのだが、そういう発想を子供にさせてしまったママ、 あなたの失敗だ、この仕事はとても退屈だ" という歌詞は当時よく分からなかったです。

 

You are 18 year old girl who live in small city of Japan
and you heard me on the radio about one year ago
and you're wanting to know all about me and my hobbies
my favorite food and my birthday

君は日本の小さな町に住む女の子
一年ぐらい前に 僕をラジオで聞いて
僕のことを何もかも知りたがってる
趣味とか 好きな食べ物とか 誕生日とか


Why are you so far away from me?
I need help and you're way across the sea
I could never touch you - I think it would be wrong
But I've got your letter and you've got my song

どうして君はそんなに遠くにいるの?
助けて欲しいのに 君は海のずっと向こう
どうしても触れられないし - 触れちゃいけないんだろうな
だけど僕には君の手紙があるし 君には僕の歌がある


They don't make stationery like this where I'm from - so fragile, so refined
So I sniff and I lick your envelope and fall to little pieces every time
I wonder what clothes you wear to school ; I wonder how you decorate your room
I wonder how you touch yourself and curse myself for being across the sea

僕の町じゃ こんな便箋は作ってないよ - 繊細で 上品で
だから僕は 封筒の匂いを嗅いだりなめたりして そのたびに崩れ落ちそうな気持ちになるんだ
きみはどんな服を着て学校へ行ってるんだろう, どんなふうに部屋を飾っているんだろう
きみはどうやって自分に触るんだろう なんて事を考えながら 海を渡った自分を呪う


Why are you so far away from me?
I need help and you're way across the sea
I could never touch you - I think it would be wrong
But I've got your letter and you've got my song


どうして君はそんなに遠くにいるの?
助けて欲しいのに 君は海のずっと向こう
どうしても触れられないし - 触れちゃいけないんだろうな
だけど僕には君の手紙があるし 君には僕の歌がある

 

At 10 I shaved my head and tried to be a monk
I thought the older women would like me if I did
You see, ma, I'm a good little boy
It's all your fault, momma, it's all your fault

10歳の時 僕は頭を丸めて坊さんになろうとしたんだ
そうすれば 年上の女性にモテると思ったんだ
ほら ママ 僕はこんないい子だよ
みんなあんたのせいだよ ママ みんなあんたが悪いんだ


goddamn, this business is really lame
I gotta live on an island to find the juice
So you send me your love from all around the world
As if I could live on words and dreams and a million screams
oh, how I need a hand in mine to feel


クソッ この商売は欠陥だらけ
真髄を見抜くには 孤島に暮らすしかない
きみたちはそうやって 世界中から愛を送ってくる
言葉と夢とたくさんの声援があれば 僕は生きていけるとでもいうように
ああ 僕がどれだけ 握る手を必要としていることか

 

Why are you so far away from me?
I need help and you're way across the sea
I could never touch you - I think it would be wrong
But I've got your letter and you've got my song

どうして君はそんなに遠くにいるの?
助けて欲しいのに 君は海のずっと向こう
どうしても触れられないし - 触れちゃいけないんだろうな
だけど僕には君の手紙があるし 君には僕の歌がある

 

( pinkerton )

 


このアルバムはweezerの2ndに収録されているのですが蝶 々夫人というオペラのストーリーをコンセプトに作られているそう です。

 

話はかなり変わるのですが、 その日のライブは吉田寮での初の弾き語りのイベントだったのです が、出演者は僕と台風クラブというバンドをやっている石塚くん。 この二人は前から吉田寮で練習やライブをしている仲間です。
それと元寮生の学生2人でした。 彼らは普段人前で歌を歌わないので弾き語りでは初ライブでありこ の日のために一曲生まれて初めての作曲をして、 熱心にアコギを練習して演奏に望んでいました。 もう一人演奏する予定だった元寮生は本番直前に緊張し過ぎて演奏 断念してイベントが終わりました。 イベントが終わった後寮生たちはカラオケができるアプリを使って 、みんなでカラオケを熱唱して盛り上がっていました。 先ほどのイベントでの緊張感が嘘のようでした。


彼らは学校から訴訟されています。 吉田寮を占領しているという名目で。 僕も使用者として吉田寮を守る活動を応援していますが、 彼ら当事者はまだ20歳そこそこの現役学生たちで勉強も就活もバ イトもありながら吉田寮に住むために京大に進学したのでもちろん 吉田寮を守るための活動やイベント企画を頑張っています。 そんな忙しい彼らがあまり見せない普通の若者の青春を垣間見るこ とができて音楽より良かったです。