ミ南ミ

風の又サニーと先週名古屋の金山ブラジルコーヒーで対バンした。僕らの他にはてんしんくんとgofishが出演した。erorinの個展最終日のイベントだった。いつも、久しぶり、懐かしい、新しい、初めてなど、あらゆる時間が交錯してとても良い夜だった。

 

敬愛する哲夫今成のバンドは風の又サニーと言うのだけど、彼が作った店はミ南ミと名付けられた。初めて彼から聞かされた時からどちらも良い名前だと思ったことを覚えている。

その店は僕がかつて住んでいた愛する浄土寺に誕生し、色々あって無くなった。風になったように自然な店だった。全てが、ただ、景色でしかなかったように思う。

そのミ南ミを偲ぶコンピレーションカセットテープとzineがjapkasai主導によりhoge tapesからリリースされた。

http://hogetapes.net/oooOO/minaminohuukei.html

 

以外サイトから引用

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A
1.うかぶとりどり - 行楽猿
2.お茶 - 鈴村まどか
3.ふたりは - ハラナリイチ
4.秋刀魚の腸 - 石原ヨシト
5.SOMEONEWHOCARES(the onlyones)
- 長内納
6.ひとさじ - かわいあり

B
1.紫陽花 - 鈴村まどか
2.すぐに沈む - Little Wood
3.スパイシボ - 本田未明
4.マリッジオーシャンブルー - 行楽猿
5.風 - いよとりいち
6.南の前の道~アイリッシュ - ショーキー


できるだけ正確に思い出そうとして、メールボックスを開けてみる。どうやら2016年ごろのことのようだ。夏かな。暑かったのは覚えている。引っ越しの準備だろうか、もはや半分物置のようになっていた「ミ南ミ」の跡地へ向かってみると、そこにてっちゃんがいた。彼のたたずまいは、雑然とした部屋のガラクタとほとんど見分けがつかなかった。ボロボロのガラケーだかICレコーダーだかに録音されたデータを必死にサルベージして起こしたこの音源は、哲夫今成の友人たちと「ミ南ミ」との会話の記録だ。道路沿いにあったからか、車の音がやたらデカい。それも今は懐かしい思い出。初めから未完成のまま出来上がっていた彼の店。3年前に書いた手紙を届けたい。

 

引用終わり

 

 

僕がこの店でいつか演奏した歌も収録されている。想い出は各々の箱の中に仕舞われたものだけど、記録として誰かの記憶の栞となることが出来るのは光栄なことだと思う。

付属されているzineには常連の3人が店と店主への手紙のような文章を寄稿しており、僕もこの店の常連だったし、店主とは9年前に出会ってからずっと心と音楽が近くにあるため短いけれど読み応えのある文章だった。

だけど、このような作品が形になる事に結構驚いている。確かにあの店は愛されるべき人々にしっかりと愛された。一枚のイカダに大勢のカナヅチを乗せて荒れ狂う大海を旅したような店は他には無い。言うまでもなく彼の人生も僕らの人生もまだ途中、やはり荒野、真っ只中。記憶は自然と風化していくけれど、あの頃を客観視したことが無かった。(ずっと日々に追われているのはもしかしたら僕だけなのだろうか)

 

この作品の誕生によって経過した時間とイカダが移動した距離を確認する事になったと言う事だ。その機会を作ってくれたjapkasai飯島くんに感謝。

 

仕事中、たまに店があった場所の前を通るのだけれど、いつも不思議な気がする。僕らは僕らの意思で出かけたり集まったりしているわけでは無いのだということ。

zineの中で保田くんが、私たちが常連として幼かったためミ南ミと哲夫の負担になっていたというような事を書いていたけれど、果たしてそうだろうか(間違いなくなべちゃんの負担にはなっていたけれど)。哲夫の見ている景色はいつでも旅の途中であり、旅が日常であり、日常が旅だと思う。昔はちょっと違って旅は丁度良き伴侶であったかもしれない。きっと又サニーにシャラポアが加入したあたりからか、哲夫はちょうど良い伴侶だった旅と無謀な一体化を果たした。旅の中毒性に僕もやられていた時期が長いし、今も抜け出せないのは旅だけかもしれない。

旅で出会う過去と未来の景色。自分の中に住んでいるあらゆる感情の駅の駅長。

PAに巣食うコマーシャルを主食にするタイヤ化合人間。

フィルムには収まらないあの香り。

あの、香り。たまらないよね。

だから良かったね、君は誰よりも哲夫だ。

いつも通り危険にやっていこう。

 

 

わかる?