coffee tips

2024.03.10 更新

 

僕はippku COFFEE(イプクコヒ)という名前でコーヒーロースターをやっています。

100g / 600円で好きなコーヒー豆を焼いて売っています。https://www.instagram.com/ippku_coffee?igsh=c3E0Z3VkZmQ1aHFj&utm_source=qr

 

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コーヒーの豆を買ったりして、淹れる時にいろんな方法があって困ったりした経験がある人多いと思います。僕の焼いたコーヒー豆は誰でも簡単に美味しく抽出できるようにしています。その方法を書いていきます。読んでみたら発見があるかもしれないので読んでみた方がいいかもしれません。

 

 

【お湯とコヒ豆🫘】
・ドリップは1杯(130ml)につき15g豆を使っています。

・熱湯を使っています。

・熱湯だとドリップの時間が長くなると不味くなるので2杯分以上一気にいれない方が良いです。たまに一杯ずつしかドリップしませんっていう喫茶店ありますが、抽出時間への理解があるというアピールなんですね。

 

【温度🌡️】

さっき熱湯を使うと書きましたが、熱湯にこだわりがあるわけではありません。コーヒー豆によっては温度低くしないと苦いものがあります。

僕はコーヒー豆を熱湯で淹れても美味しいと思うものを選んで焼いています。複雑なテイストが好きなので。

温度が高い方が多様な香りが抽出されます。複雑な香りのコーヒー豆を選んでいるので、そのポテンシャルを発揮するためには温度が高い方が良いです。

デメリットとしては雑味も多く抽出されてしまうという点があります。

もし抽出して、今日のコーヒーは酸化の具合的に熱湯だと苦いなと思ったら温度を下げるというのも手ではあります。酸化により毎日コーヒーの具合が変わるので。

お湯の温度を下げる方法は色々ありますが、熱湯を使ってない鍋やお皿に一度入れてからドリップするケトルに入れてあげる事でちょうどよく温度が下がります。

温度が下がることにより雑味が減りマイルドなコーヒーが抽出できますが、この方法だと安いコーヒー豆でも美味しいです。

熱湯を用いてまでこのコーヒー豆の香りのポテンシャルを引き出したいというコーヒーを買っている場合は温度は高い方がおすすめということです。

また、コーヒー豆の挽き具合を荒くする事でも雑味は抑えられます。

 

【道具⚖️】

ドリッパーは抽出が簡単なので円錐形がおすすめです。

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フィルターはこれ一択です。めちゃくちゃいいです。

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グラインダーは安いものだとボダムがオススメです。長持ちします。

https://amzn.asia/d/d8znANT

 

僕が使ってるのはフジローヤルのみるっこ。

高いだけあって信じられないくらいコーヒーが美味しくなります。

https://amzn.asia/d/g1TuuEQ

 

みるっこは微粉が飛ぶのでコーヒーサクラのパウダーコレクターも使用しています。

https://shop.coffeesakura.co.jp/products/mmirukko20

 

【蒸らし🧖】

最初に蒸らしというのをするんですが、コーヒー豆全体に熱湯をかけて濡らします。サーバーに少しお湯が落ちるくらい。

浅煎りだと濡らしただけでは粉の内部にむらができてしまうので、細いスプーンとかで濡らしたコーヒー豆をかき混ぜます。https://note.com/yuma_lightup/n/nefc5984aceda


蒸らし時間は30秒を基準にしています。それで濃いなら蒸らし時間を短くしたり、それで薄いなら蒸らし時間を延ばして好みを探ってみてください。(コーヒー豆は濡れて時間が経つほど雑味が強くなるので延ばしすぎない方が良い)

 

【ドリップ☕️】

蒸らしが終わるとお湯を注いでいきます。

コーヒー豆が入っている位置がお湯に浸っている状態をキープするのがコツです。それより上までお湯が来てしまうと薄くなります。一方ゆっくりお湯を入れると雑味が強くなります。

スムーズな抽出を心掛けるために円錐型のドリッパーやアバカのフィルターを選んでいます。とても心強い味方です!

 

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こういうコーヒーサーバーがあると、今どれくらい抽出したかが一目でわかるので便利です。

 

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このコーヒー豆軽量スプーン山盛りで15gです。

 

130mlにつき15gというのは僕の基準ですが、美味しいコーヒーを抽出するためには変化させる場所を絞っていく事が重要です。

・コーヒー豆と水の量

・コーヒー豆の挽き目(グラインダーの種類)

・お湯の温度 

・蒸らし時間

・ドリップの速度

・ドリッパーやペーパーフィルターの種類

以上の項目を固定して、1つだけを変化させることで実験していく事が自分の好みのドリップを見つけていく方法です。どれを変えても変化が大きいので2つ以上を同時に変更してしまうと迷子になります。

 

【アイスコーヒー🧊】
サーバーは大きいのがおすすめです。

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なぜなら、中にたくさん氷を入れて、その上でドリップして、抽出終わったらマドラーとかでくるくる回転させると簡単にアイスコーヒーが作れるからです。

 

【酸化の楽しさ⏳】
焙煎された豆は0日から14日にかけて毎日違う飲み物に変わります。何日目が好きなのか探すのが楽しいですよね。

中深焼きは4〜6日目が特に素晴らしいです。

14日過ぎると段々よさが落ちていきます。

 

【保存方法💾】

常温で保存してください。

冷蔵冷凍すると美味しくなくなります。

でも真夏は常温が高温なので焙煎が進んでしまいます。真夏は冷蔵庫に入れましょう。

また大量にコーヒー豆を購入してしまったときは飲み切るまでに酸化しすぎてしまいますよね。3週間で飲みきれないなら2週間は常温で楽しんで、それから冷凍してください。酸化しなくなります。

コーヒー豆を挽いてしまうと数分で酸化してしまいます。粉にするのはコーヒーを淹れる直前にしましょう。

 

【コヒ豆との関係性🥃】
豆の量をケチるなら豆の質をケチった方がいいと思います。それくらい量は重要です。

量をケチるというのは、水に対しての豆の量です。

少ない豆でも細かくひいてゆっくりゆっくり淹れると濃く出せますが、何が濃いのかというと色と苦味です。

良いコーヒー豆を楽しむなら良さを殺さないように抽出したいです。


コーヒーは焙煎で色んな表現ができますが、コーヒー以外の好きな飲み物の影響が大きいと思います。

ぼくは蒸留酒好きなので、アルコール感強いナチュラルのコーヒー豆が好きです。

赤ワインっぽいコーヒーや、紅茶をめざしたようなコーヒーもあります。

浅煎りは紅茶やジュースみたいなイメージでローストする事が多いです。

 

【微粉にバイバイ👋】
熱湯で淹れた場合に苦いと思ったら、(挽き目が均一なら)それより少し荒くひくだけで苦味を調節できます。グラインダーによっては微粉がたくさん出てしまうものがあります。微粉は濡れた瞬間に雑味となってしまいます。なるべく少ない方が良いです。良い道具があります。

https://amzn.asia/d/a1CDkGh

これについてるふるいを用いると微粉を落とす事ができます! 良いグラインダーがなくても美味しいコーヒーが飲める世界...。

 

【殺すな🍉】

コーヒー業界はこだわりの世界なので、コーヒーについて発信してる事って人によってバラバラですよね。

ぼくはコーヒーの個性を殺さないという事をテーマにしています。無駄なこだわりを減らして楽に誰でも美味しく面白くという思想を持っています。

僕は毎日たくさんコーヒーを飲んでいます。おいしいし幸せです。

朝はまずコーヒーを飲むし、職場でも飲むし、夜も飲む。

友達が来てくれたらやっぱりコーヒー飲むし、飲み比べしたりもする。

マキネッタでエスプレッソをつくりカフェラテを楽しむ日もある。

コーヒーを淹れる事・飲む事は遊びだなと感じています。

僕のおばあちゃんが死ぬ直前に入院していて、僕の事も分からなくなっていた時に、聞いた言葉が印象的でした。

「次来るときは飴を持ってきて欲しい、ここはつまらないから」

飴って食べ物だけど咀嚼して飲み込まない。時間をかけて溶かしていく遊びなんだなと初めて気がついた。おばあちゃんは子供の時からそれに気がついていたのかも知れないと思った。

フィッシュマンズの「RUNNING MAN」という曲の歌詞が好き。

youtu.be

『晴れた日は君を遊ぶのさ 晴れた日は丸めて遊ぶのさ 寝っ転がったらするのさ タバコをすったりするのさ 紅茶を飲んだらするのさ そう、つまらないのさ』

 

人は生きるのが退屈でつまらないから遊びたいんだな。子供達は、大人達は、みんなで、ひとりで何して遊ぶのが好き? 僕はいつも遊んでいたい。眠気覚ましにコーヒーを飲むときは、遊びというより道具なんだけど、ライヴが終わって家に帰るために夜に高速道路を走ってるとき、眠いからコーヒーを飲む行為はとても遊びだ。受験に向けて深夜に勉強してる時に飲むコーヒーだって遊びだった。ごみ収集員として働いてるときは缶コーヒーが通貨だった。仕事を助けてあげたら同僚がお礼に缶コーヒーを買ってくれる。喫煙所で生臭い作業着のままそれを飲む時は仕事中なのにとても遊びだった。

人生を使ってずっと遊んでいたい。イプクコヒ的にはコーヒーにまつわる事は遊びに関わる仕事だ。

 

カフェをやっていたときと比べるとコーヒー豆をそのまま売るというのは利益が全然無いです。ほとんど遊び。でもリピしてくれる人がほとんどで嬉しいです。

本人はコーヒーを飲めないけどプレゼントに買ってくれる人もいる。これはすごい事だと思う...。

カフェインが飲めない人がカフェインレスコーヒーを買ってくれる事も嬉しい。これも素晴らしい事だ。

そういう遊びを続けて広げていく事がつまらない世界に対する抵抗だ。

 

 

 

 

 

 

末素君からの手紙

彼の手紙の22ページにある分析がなぜ大事かという箇所が素晴らしいと思ったので、ここにも載せておきます。

 


「分析がなぜ大事かといえば、目の前にある問題の深さ、困難さを知れるから大事なのであって、分析とか研究とかは悟性に向かうためのものではないでしょう。無限の濃度を知る事が学であって、しかし人間の命は有限なので時々無限を断ち切って行動しなければならない。その切り口にセンス(意味)があれば芸になり、つまるところ無限と有限の両方に立ち向かう覚悟が学芸なのだとおもいます。」

#入管法改悪反対

この国の教育は
同調圧力に抵抗が無く、やがてそれを利用するようになる人。
同調圧力から逃げ続けている人。
この二層に分ける。
前者は頑張る事で報酬を得た経験があるから権力に前習えする。後者は差別への忌避感を知っている側だが、それに抵抗する活動さえも同調圧力だと見ている人々が多い。

 

陰謀論に想像力を奪われてしまったユーザーをよく目にするためTwitterユーザーは特に声を上げる活動に抵抗がある人が多いかもしれない。想像力にもファクトチェックにも限界があるからこそ、目覚めスイッチが入ってしまう人がいる。知って踊らされるより、知らずに踊らされている方が楽なんだ。

 

差別が人を殺していて、国がそれを推進しようとしている時点で戦争と同じ事が起きている。そんな事みんな分かっているけれど、自分で踊るんじゃ無くて、踊らされるエンタメ漬けにされた僕たちはまた踊らされようとしている。敵はいつでも僕らの心の中に居るよ。

 

デモに参加したり、この事について知人と話をするだけで良いと思う。でもパートナーにも相手にされないかも知れない(疲れてると思うし)。そんな時は無理せず話をしようとした自分の事を愛して欲しい。差別についての話は本当に足りて無いし、難しい。好きな人が差別的だと分かれば嫌いになるし、怖い。

 

未来の地球にどんな人達が暮らしているかを今まさに選ばれようとしていると思う。僕は生まれてから今までずっと人間にうんざりしてる。不満があれば弱者に怒れば良いと思ってる人達ばかりだと思うから。これは「うちはうち、他所は他所」っていう最悪にダサい思想が生み出した世界だ。

 

生きてても楽しい事なんてあんまり無いよ。でも、そのあんまりの内には人との出会いがあるよ。恋愛や利益を得るためのマッチでは無くて、目が合うだけで宇宙まで飛んでいけるようなやつ。僕の場合は直接じゃ無くて作品を通して時間空間を超えた出会いの場合が多いけど、それがあるから生きている。

 

音楽も映画もゲームもなんだって作品を作るのは人だから、AIだって人が作った作品を食って機能してるし、作品との出会いは人との出会いだと思う。作品を作ってない人はピンとこないかも知れないけれど、そういうもの作ってる人たちは最初の話の後者である事がほとんどだと思う。

 

列挙するまで間も無く、差別の対象にされるあらゆるIDの困り事は生命に関わる事でさえ自己責任とされる。自己責任という言葉を使ってる人は責任という言葉に意味がない事を知らないと思う。ただ意味もなく差別的に他者を責めてる自分を肯定するために使う言葉。

 

責任をとって辞めるとか、責任をとって死ぬとか本当に馬鹿だよ。個人が不利益を被る事で他者が助かる環境がおかしい事を指摘できない同調圧力の中で踊らされてるだけなのに。頑張れとか気合いとかと同じ、特権を持つ者が弱者に強いてきた汚くて意味を持たない言葉だと思う。

 

また同調圧力の中で生きる人達は本当に責任とか気合いとかの世界で生きてるのだとも思う。命の価値をかなり低く見積もるのには昆虫のように同種を殖やすという事しか考えてないからだろうな。そういうのはもう終わりにしよう。命の価値をもっともっと高めて1番上に持っていきたい。何よりも大切なもの。

 

そのために声を上げる。誰かに責任を押し付けるためじゃ無い。命の価値を何よりも高いものにする為に。

#入管法改悪反対

 

 

「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」を観てきた。

みなみ会館でぬいしゃべ観てきた。この映画はどんな人にも全員に観てほしいから薦め続けるけれど、上映中吐き気が辛くてで胸が棒で押されているかの様に苦しかった。自分の過去を(そのまま)観ている様だったから。僕は20代の頃ぬいサーではなくTwitterで自問自答していたけどそれも苦しくて、話を聞いてもらうためにもっといい方法も思い付かないでいると頭の中に姿無き存在が生まれて話を聞いてくれたり、話しかけてくれる様になった。つまり全然大丈夫じゃなくなったんだ。いつの間にかそれは居なくなったけど、その時の安心感に縋り付くために手段は選べないし感じを思い出した。社会のあらゆるしんどい箇所を変えるために急な解決策なんて無いから痛み止めとしてのぬいしゃべと対話の練習としてのぬいしゃべを描いていた部分には真摯な伝えたさが伝わってきたし、全編通して現実でしか無い。人それぞれ現実は違うけれど、僕の現実はまさにこれで、今鴨川で鳥達に囲まれながらこれを書いている。物語で描かれる救われようの無い苦しみ(無自覚な加害性と加害性の自覚、社会に演じることを強いられるジェンダー)をジョンのサン、わがつまさんの音楽が優しく包み込む。素晴らしい録音だった。

各所に散りばめられたぬい視点は眼鏡を外した様にぼんやりしていて音も耳栓をしている様だった。僕たちはそういうかわいい鈍さを何かに心底求めている。彼らにはぬいがそういう存在であって欲しかったし、白城にとっては七森がそういう存在であって欲しかった。でも本当はみんな敏感である事を恐れている。この社会においては鈍感さこそが強さとされているからだ。この映画を観た人たちは気づく事ができると思う。実はみんな弱いままでいいって事。弱いから大丈夫じゃなくなるんじゃ無くて、大丈夫じゃ無くなる環境に鈍感になってるだけだって事。僕にとってこの映画はショッキングなセラピーだった。この映画は革命を起こす事ができる。金子由里奈監督にとても感謝してる。あと、この作品に一瞬映り込む事ができてめちゃくちゃ光栄です。また観に行く。

 

 

https://nuishabe-movie.com/

 

 

https://youtu.be/fBorXbVqwOU

feelings, NONAME 20230325リリースします。

https://twitter.com/coffee_ippku/status/1636286690980687872?s=46&t=4wLEiJvehN77j6X9df6Hwg

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KASHIKOI ULYSSES
"feelings, NONAME"
20230325 release.

REC at studio INO by Satoshi Yoshioka.
Mixing : Keisuke Ezoe @EzoeEndlessSumm
Mastering : Ippei Suda @IppeiSuda
Artwork : aeonfade

 

その前にKASHIKOI ULYSSESは今何をしてるのか書いておきます。

毎週、それぞれにほとんど無い余暇を寄せ集めて、出町柳のスタジオで寄り合わす。

バンドのdiscordサーバー上で今聴いている音楽をシェアしたり、曲のアレンジを練ったりしてる。

今年こそレコードを作ることを目標に現在は京都近辺在住の5人を中心に活動しています。

 


3/25に各種サブスクでリリースされる「feelings, NONAME」というシングルはコロナ禍に入ってバンド活動を休止せざるを得なくなり、osamuosanaiの宅録プロジェクトととして始めたGASOLINE・STANDで作った曲です。コロナ禍以降の再スタートはこの曲のセルフカバーから始まります。どう思いますか?

 


この曲の歌詞は「誰も笑わないで欲しい」という僕からみんなへの要望が主題となっており、Fmaj7 Cmaj7 Fmaj7 G2弦3フレット Fmaj7(2弦解放) C Dm C のループの上でリフレインされています。

ここで言う"笑い"とは、嘲笑や冷笑の事です。嫌じゃ無いですか? 僕はかなりそういう"笑い"がしんど過ぎて、ギリギリここまで生き延びてきたけれどずっと嫌だった。嫌なことを嫌だと言うことが出来ないように調教されてしまうと、主観的に異端だと思う対象を冷笑するようになるんだと思います。嫌なことを嫌だと言うのには人によっては訓練が必要だと思うし、NOと意思表示することによって急に危険な状況になってしまう位置に居る人がほとんどだとも思います。でも、僕たちが今ある程度生存できたのは、赤ちゃんの時にちゃんと意思表示出来ていたから。生まれたばかりの人間は嫌だと言う意思表示しか出来ない生き物。それさえ出来ないと生存出来る可能性はかなり低くなる。前ならえは気持ち悪いから死ぬより嫌だ。自分のことを愛する事が大切なのは当然として、自分にとって死守したいものはなんなのか、名前や見た目など自分にまつわるほとんど全てが削ぎ落とされた時に、自分が自分であるために譲れない部分とはなんなのか、それが名付ける事が出来ない感情なんだと思う。

嫌と言えないとストレスで怒りが生じる。その怒りは自分や他者に向けられるが、原因が解決しないかぎり生じ続ける。そのうち繊細なシナプスは焼き切れてしまう。怒りは生じさせられるものではなく、提示するものであるべきだ。親や教師に怒られ過ぎた結果、怒り無きコミュニケーションには心動かされなくなってしまっていた(激辛じゃ無いと食べた気がしない感じに似ている)。言葉が使えるならコミュニケーションに怒りは必要無い。怒りは助けを求める悲鳴であるとともに怒りは言葉が届かない大きなものに対して提示すべき武器である。怒る前に嫌なことには嫌と言って断り、聞く耳を持たないものに対して冷静に怒りを提示する人が増えたら余計な怒りは減ると思う。(怒りは嫌いだ。でももうずっとこの国の政府やレイシストたち、家父長制にはうんざりだ。今すぐ消えて欲しい。)

 


コロナ禍で感じた事はたくさんあった。政府の対応の絶望と未来への不安、貧困の苦しみ、病と薬との付き合い方の難しさ、腐った特権を死守するために誤った情報を流され続けるタイムラインへの悲しみ。子供の時ショッピングモールで聴き続けたあの曲が夕食の事だけを考えていたら良かった懐かしい時間に連れ戻す。だけど僕たちは脳みそにプログラムされたクリシェをハッキングする。腕力で組み替えて、違和感がある方が良い。違和感が意図になるまで、もう一回そこからやってみよう。もう一回、もう一回。それでも毎回違うからこの曲はバンドでやる必要があった。

 

 

 

 


このトラックの聴いて欲しいこだわりポイントはここです。「イントロは鴨川デルタの先端でカセットテープで録音したサックスの音をラジカセ搭載のスピーカーから出して再度コンデンサマイクで録音したもの。そこからゆきさんのギターフィードバックを四つ重ねて入れた。「そのままで」の前部分、デルタの先端で録音した水の音、小金井のパッカー車の音、鴨川デルタの先端で録音したサックスのテープ音源後半をライン出力し、七度ピッチシフトして、オートチューンで黒鍵だけなぞるようにしたものを挟み、その後のサックスも雅楽の笙をイメージしたピッチシフトをミックスしたものをいれました。」

 

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PAVEMENT観た!!!!なんばhatchで!!!

コロナ禍に入ってバンド活動が上手くいかなくて、ギターの弾き方を忘れてしまった頃に聴き始めたpavementにめちゃくちゃ衝撃を受けて、毎日聴くようになった。来日する事が決まり、すぐにチケット取った。

でもその頃(今日)に僕やpavementのみんなが生きてる保証も無かったし、本当にライヴが観れるかどうかなんて分からなかったんだけど、とにかく生き延びるための希望になった。
チケットを買った直後に香川のipppenさんから連絡があり、「pavementを一緒に観よう、チケットも買っておきます」

その連絡にとてもびっくりして、とりあえず僕はもうチケット取った事を伝えたら彼もびっくりしていた。
今日久々に再会できてすごく嬉しかった。写真とか撮れば良かった。
そしてなんと初期ロットの90年turbo RATを譲ってくれた!これ毎日メルカリみて探してたやつです!
しかも先日rat壊れたばかり!

なんで僕の欲しいものを知ってるんだろうか。明日のスタジオで早速鳴らしてみる。

turbo RATは90年代にpavementsonic youthがプリアンプとして使っていた名機です。初期ロットめちゃくちゃ欲しかったんです。

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pavementの音楽に完全に心酔する前は、人の心や自分の心、あるいは社会や歴史を動かすことに全身全霊を注ぐエネルギッシュな表現にジーンときてたけど、pavementはそれらと比べて真逆のように感じる。でも彼らが音楽と向き合った先に我々が居るんだ。我々が社会であり歴史だと知る。彼らの目を通して。彼らは音楽を通してあらゆる視点を提供してくれる。

 

なんばに向かう地下鉄たくさん人が乗ってるけど、みんな普通の顔してドキドキしながらpavement聴いてるんだと思ったら面白い。変わり者過ぎるだろ。

 

もし音楽が聴けないくらい疲れてしまって、音楽嫌いになりそうな人が居たら、PAVEMENTをそっとおすすめしてあげよう。音楽オタクの最後の砦。リスナーが主役。そばに居てくれるだけのケアのロック。
今夜の演奏は本当に素晴らしかったです。ありがとう。

 

いつも音だけ聴いてるとソングライティングのことや、ギターの音、歌い方について考えさせられる事が多い。曲が好きだから。
でもpavementを直接見て思ったのは、音は楽器から出てくるけれど、音楽は人から鳴らされるものなんだという事。ソングライターやシンガーだけではバンドの魔法は生まれない。

 

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非サイケデリック

サイケデリックという形容詞が生まれてからギターアンプ、ディレイ、ファズなどロックにまつわるものがほとんどサイケデリックな音である事に人類は気づいてしまった。それからというものあらゆる音楽レビューにサイケデリックという言葉が乱用されてきた。

ロックの生み出した退廃的、陶酔的、上昇的、下降的、回転的、彩色的、モノクロ的な感覚全てがサイケデリックのに一言で終わらせられる事に凄くしんどさを感じる。みんなの手のひらに触れて動く絵がある現在、音楽におけるサイケは全くありがたいものではない。

幾何学模様のラストライヴ(いまだに信じられないほど素晴らしい演奏だった。)で思ったけれど、彼らの音楽はアートワークの雰囲気やファッション含めてサイケデリックな雰囲気が強いけれど、肝心な音楽はただのプログレクラウドロックサンプラーではなくしっかりとオルタナティブ志向な作りになっている。つまりファクトチェックされた信頼性のあるソースを用いて、常に少し新しい音楽のリフを生み出し続けてきたという事。

音像の主張や演奏の技能さえも、音楽の種と言える小さいリフの発想次第で意味が変わる。

セッションの中、古いレコードの中、何気ない鼻歌、midiキーボードを適当に触ってクオンタイズしたフレーズ、どこから拾い上げても良いんだけど、何の原石を拾い上げるのかが重要という事。

例えば金やダイヤモンドなど価値がすでに確立している原石を拾ってもいくら磨いてもその重さ分の価値を超えることはできない。名付けられていなそうな石を拾って磨くというのがオルタナティブロックを作曲するという行為であり、その行為が自体非サイケデリックだと思う。常に拾った石を色んな物と比べ続けながら磨いていかないとすぐに耳触りの良いだけの保守的なリフとなってしまったり、信頼性のあるソースが少な過ぎる陰謀論のようなリフになってしまうからだ。陶酔している暇が無い。

 

僕は去年から非サイケをテーマに音楽をやってるんだけど、そうすると音色の必然性を厳しく確かめるようになった。音域と、残響音を含めた音の長さはコントロールが難しい部分だからこそ必然性に大きく関わってくる要素。何のためにここで低音が強いのか、弱いのか、何故ここでリバーブが必要なのか、必要では無いのかなど自問自答したり、バンドメンバーに聞いたりして今のユリシーズの音楽ができてる。

 

そもそも、サイケデリック・ロックに限らずあらゆる音楽ジャンルは同じドラッグ(アシッドから恋愛、戦争まで)をテイクして、精神状態をシェアした状態を用いて非言語下で音楽的イディオムやクリシェ、グルーヴを味わう事で確立されている催眠だと思う。そういう意味では音楽を聴くということは無意識下で必然性と向き合せられるという事。

歪んだゴーストが理解について語りかけてくる。ここではこれが当然だろうという前提を鵜呑みにするのではなく、ちゃんとゴーストと対話して対案を提示し続けるという事が作曲において1番重要で醍醐味だと思う。

 

ライブ機会あったら観にきて欲しい。音楽も人も変わり続けていくから、live